「予防接種」についての相談」カテゴリーアーカイブ

Q:子どもの予防接種はどれを受ければいいのですか?

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  • 予防接種の数が多すぎて、いつどれを受けさせればいいかわからない!
  • 危険なものがあると聞いたことがあるけど、何がどう危険なの?
  • 予防接種ってなぜ受けるの?

子どもを産むと、たくさんの予防接種の接種票が送られて来ます。

複数回打つ必要があるもの、
一度打つと、しばらく間をあけないと、
次を受けてはいけないものなど、様々です。

予防接種は、受けさせようと思っていても、
子どもの体調が悪い日が続いたりして、つい受けないでいると、
あれ? 受けなくても平気なんじゃ・・・?
本当に受けさせなくてはいけないものなのか、よくわからなくなったりします。

予防接種を受けるべきか?

日本では、予防接種法に基づき、
特定の疾病の予防接種を受ける「努力義務」があります。

予防接種を受けさせることは、多くの国では義務ですが、
日本では1994年より、「努力義務」に変わりました。
つまり「受けるか受けないか」を、
個人かその保護者が、選択することができます。

予防接種は、治療法がなかったり、
一度発病してしまうと、深刻な後遺症が残るような、
大きな被害のある疾病について、行われます。

一方、予防接種には、非常に低い確率であるものの、
重篤な副作用が起こる場合があります。

基本的な考え方として、
予防接種は世界から天然痘を始めとする、
重篤な疾病から人々を守ってきた、素晴らしい医療だと私は思います。

また多くの人々が抗体を持つことで、
病気の蔓延を防ぐ効果があり、
自分や子どもの感染を防ぐだけではなく、
皆のためでもあります。

厚生労働省のワクチン行政には、
世界から10年遅れているという批判もあり、
鵜呑みにしてはいけない点もありますが、
「個別に評価するのが面倒であれば、全部受ける」
が基本ではないかと思います。

長く流行していない病気の予防接種は受けなくていい?

予防接種には、リスクとベネフィットがありますが、予防接種が始まって時間がたつと、
多くの人が免疫を獲得するため、打っても打たなくても、その病気にかかる
可能性が低くなっていくものです。

つまりベネフィットが低減し、リスクだけがそのまま残ります。

しかし、子どもの頃に予防接種を受けず、
免疫を持たない人が増えると、
将来その病気が流行したときに、
感染することがあります。

最近の風疹が良い例です。

また海外に留学や赴任をする際に、
規定の予防接種を行っていることが、必要とされる国も多くあります。

国の制度が異なるため、
日本の予防接種スケジュールをきちんとこなしていても、
追加で接種するものが全くない、というケースは稀だと思います。

もし、日本の予防接種をまったく行っていない場合には、
必要な接種を受けるには時間がかかりすぎ、
渡航自体が出来なくなってしまうこともありえます。

こういった観点からも、私は、
予防接種は受けさせておいた方がよい、
と考えています。

一言でまとめると、ポリオ以外の予防接種は、
普通に受けるとよいかと思います。

おことわり

ただ、私は医師ではなく、
子どもに受けさせる予防接種について、
たくさん調べて勉強した、一人の母親に過ぎません。
主治医の先生とご相談の上、保護者の方自身が、
リスクをご判断いただきますよう、お願いします。

以下、個別に述べている予防接種についての記事です。

Q:日本脳炎の予防接種は受けさせるべきでしょうか?
Q:ポリオの予防接種はいつ受ければいいのでしょうか?

Q:ポリオの予防接種はいつ受ければいいのでしょうか?

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日本では、野生株のポリオは、1980年を最後に30年以上発生しておらず、
生ワクチンが原因のポリオが、数年に1件程度発症していました。
このため、生ワクチンの接種率が著しく低下し、これに対応して、
不活化ポリオワクチンが、
平成24年9月に、やっと導入されました。
つまり不適切な予防接種は受けないことで、行政へのメッセージになるのだと
私は理解しています。

ポリオの予防接種には、現在、単独の不活化ポリオワクチンと、
4種混合ワクチンの、
2種類があります。

ちなみにこの両者は、ワクチンを作るための
材料の株が違います。

単独のものは、強毒性のソーク株。
4種混合は、弱毒性のセービン株です。
そして、ソーク株の方が、世界中で使われてきた実績があります。
一方セービン株は、これまで日本独特であった生ワクチン用として使われて来た株で、
不活化ワクチンとしての実績はこれからというところです。
実績という意味では、ソーク株を選択したくなります。

また、4種混合は、3種混合のスケジュールで打つ必要があるため、
スケジュールの柔軟性が低いです。
諸外国でのポリオのスケジュール(4歳以降に4回目を打つ)から考えると、
3 or 4種混合のスケジュールは早く終わりすぎます。
(標準的には1歳半程度に終了)
このため、終生免疫が付かないのではないか、という議論があります。
(まだはっきりとした実績は出ていません)

しかし、単独ワクチンを使用した場合、4歳以降に4回目を打つような、
柔軟なスケジュールを組むことができるのです。

以上のように、
・実績のあるソーク株を用いている
・柔軟なスケジュールが組める
という2つの理由から、私は単独ワクチンの接種を選択しました。

今生まれたお子さんに対しては、
4種混合がデフォルトになっていますが、
保健所に単独で受けたいと依頼すれば、
対応してもらえる可能性はあります。

リスクとしては、単独のワクチンは、数年以内に廃止になる可能性があります。
どうも、セービン株のワクチンを護りたいようです。

もし単独のポリオワクチンが廃止になった場合、
自費で単独ワクチンを打つことになります。

参考:日本医師会:ポリオワクチンでポリオになる?

Q:日本脳炎の予防接種は受けさせるべきでしょうか?

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日本脳炎は、現在の日本でも、感染の可能性がある病気です。

一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が亡くなってしまうといわれています。また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。

厚生労働省 日本脳炎

日本脳炎ウイルスは、豚などが持っており、
現在も、日本や東南アジアで、活動が見られます。
北海道では予防接種を行う必要がないと予防接種法で定められるほど、日本脳炎の発生がないようですが、日本では、主に西日本で活発であり、地域的なばらつきの大きい病気です。
図:豚の日本脳炎ウイルス感染状況2000〜2008
日本脳炎は、人間から人間へは伝染せず、ウイルスを持っている豚を刺した蚊が、人間を刺すことで、感染します。
豚は日本脳炎にならないため、放置されているそうですが、人間は予防接種によって、発症者数を劇的に減らしたという経緯があります。

日本脳炎は、予防接種法の接種時期は以下と定められており、北海道以外の地域では、3歳から第一期を開始するよう案内されることが多いと思います。

第1期(3回)初回接種(2回):生後6か月以上90か月未満(標準として3歳)
追加接種(1回):初回接種後おおむね1年後(標準として4歳)
第2期(1回):9歳以上13歳未満(標準として9歳)

3歳未満の子供が西日本において、日本脳炎に感染しているケースは、それなりにありそうですが、発症者に3歳未満の子供が顕著に多いということでもないようなのが、不思議ですね。
日本脳炎発症者の年齢別グラフ(2003-2008)

いずれにしても、感染の可能性の高い地域に住んでいたり、あるいは東南アジアなどに旅行の予定があるような場合、3歳を待たずに接種することは問題ありません。

ただ、0歳では他の予防接種がたくさんあるので、
余裕が出てくる2歳になってから、我が家では打ちました。
接種年齢内であれば、免疫もちゃんとつくようです。

参考:日本脳炎:感染症情報センター